理事長ごあいさつ

2023年8月2日、高吉晋吾前理事長の後任として、一般財団法人漁港漁場漁村総合研究所の理事長に就任いたしました浅川典敬です。何卒よろしくお願い申し上げます。
当研究所は、昭和57年の設立以来40年以上にわたり、新しい時代の要請に対応して、漁港、漁村整備に関わる研究成果及び実施例を活用しつつ、最新の情報処理技術等も積極的に取り入れて、計画、設計、施工等に関する実用技術を確立してきました。常に行政課題と対峙し、地元のニーズを反映したソリューションを提供してきました。
当研究所との関わりは、平成18年から約3年間、水産庁から出向し第1調査研究部長を務めたことです。当時は漁港の衛生管理が注目され始めた時期でしたので、漁港の市場に衛生管理を導入するにあたっての考え方の整理を行ったり、また、防災面では減災という概念が生まれたところでしたので、その概念を取り入れたガイドラインの策定等に関わりました。時代は流れ、当時先駆けであった研究課題は、普及が進み標準的なものとして、全国各地で実装が展開されています。現下、スマート水産業によるDXの導入、漁村振興の可能性を追求する海業の推進等の新たな研究課題への対応が求められています。また、地球温暖化等の影響により海洋環境が劇的に変化している状況下、漁村の賑わいを如何にして取り戻していくか、大変重要な課題を担っていると考えています。
令和5年度通常国会では、「漁港漁場整備法」の一部改正が行われ、法律名も「漁港及び漁場の整備等に関する法律」として生まれ変わりました。漁港漁場の整備だけではなく、その活用が重要であることから、法目的に「漁港の活用の促進」が追加され、「漁港施設等活用事業」が新たに規定されました。漁港の活用の具現化には、当研究所が積極的に関わり、最適解を提案することが使命であると考えています。SNS等を通じた漁村の魅力の発信、インバウンドニーズの漁村での取り込み、遊休化した行政財産の有効活用等により、津々浦々の漁村の資産をフル活用していくことが肝要であると考えます。
いずれにしましても、当研究所は関係各位のご支援とご協力により、ここまで活動を継続してくることができました。これからも研究所の目的をしっかり見据え、皆様に愛される「みんなの研究所」を目指していきますので、より一層のご支援ご協力を賜りますよう衷心よりお願い申し上げて、就任のご挨拶といたします。

理事長